霍去病(かくきょへい)

先日伊勢佐木町商店街古書店の前を通ると、店の出張った平台に懐かしい名前が目に飛び込んできた。霍去病――漢の(あるいは後漢の?)若き天才将軍で、匈奴との戦いで自ら塞外へ出ていき匈奴を遠くタクラマカンの果てまで追い払った若き天才将軍である。しかし彼は天才の名の通り長生きせず、若くしてこの世を去った。その時わずか24歳であった。

僕は中国史の、古代中国の小説を色々読んでいるが、何故か今まで霍去病の本は見かけなかった。こんなロマンに溢れた、中国古代の若き英雄の本が出ていないのは不思議であった。でもやはり“犬も歩けば棒に当たる”で、僕は伊勢佐木町書店街の古書店で、ついに若き英雄霍去病の名前を見つけた。作者は塚本青史、出版社は河出書房である。

古代中国は常に塞外民族との闘争の歴史であった。あるいは塞外民族に征服され、その王朝に長く支配された歴史でもある。つい最近の清王朝満州族の王朝である。でも歴史は進み今の共産中国が今後塞外民族に征服される事はないだろう…。

古代中国の将軍は皇帝の愛妃の親族、親戚がなる事が多く、多くは軍事的に無能であったが、霍去病だけは軍事天才であった。しかし天才は早世する。若き美しい青年の死に、愛妃も皇帝も悲嘆にくれただろう…。この本を読み彼がどんな人生、宿命の人生を過ごしたかを楽しもう?人の命は長短ではなく、何をしたか?何を残したか?が重要である…。


古代中国では皇帝の愛妾の兄弟や親戚が良く将軍に取り立てられた。ほとんどは役立たずであったが、霍去病だけは天才軍人であった。若く美しい天才将軍、しかし天才は長生きせず、若くしてこの世を去った。彼は肺病であった。肺病はつい最近まで死病であった。僕はのんびりこの本を楽しもう…。人工透析の病床の上で、散歩途中の喫茶店で、若き古代中国の英雄を楽しもう。でも彼は早世する。だから最後は涙だろう。何故か英雄に悲劇は付き物だ…。