グァイサイ・ストーリー

グァイサイ・ストーリー、東南アジアの人の話か?それとも沖縄か?いやさにあらず。僕の女房の事だ。僕の女房は愚妻だが愛妻だ。まとめて愚愛妻(グァイサイ)だ。まず愚妻の方だが「何と愚かしい」と時々思う。頭が悪いとか変に小利口とかいうのではない。原始的に愚かしいのだ。例えば自転車で坂道をこいでいて傾斜が急になり自転車を止めると、そのまま後ろにひっくり返り後頭部を強打し泣いて帰ってくる。頭にはポッコリと大きなコブ。一緒に道を歩いていても時々バタンと前に倒れる。チョットした段差に躓いて転ぶのだ。つまりあまり足を上げて歩いていない。以前自転車で2度も車と衝突した。幸い大した事にはならなかった。単に周りをよく見てなかっただけである。ああ何と恐ろしい!

でも真面目に注意した所で直る訳ではない。何しろ天然だから。必ずしも運動神経が悪い訳ではない、かなり無神経なだけだ。こんな事では厳しい自然の中では決して生きていけない。猫や鹿や猿に生まれなくて本当に良かった。うちの部屋猫ブンタも同じだ。だから二人?は良く似ている。(似た者同士で余り仲は良くない。女房は時々ブンタを踏みつける。単に不注意なだけだ、悪意はない。でもブンタは女房の顔を見るとサッと逃げる)つまり女房は単に愚かしいとしか言いようがない。間抜けな所はまるでヤッターマンドロンジョのようだ。少し言いすぎか?(人の事は言えない。ヒョットすると僕もかなりの天然…)

こういう調子だから性格は至ってノンビリしている。楽天的だが仕事では結構頑張っている。といってもパートでお茶を売っているだけだが。(お茶をひいているのではない)だから性格のキツイ人やセコイ人とは余り合わない。というより話が噛み合わない。だから愛すべき人柄、愛すべき女房である。但しそれで時々困るけどネ。しかし僕にとっては糟糠の妻だ…。

昨日は僕の66歳の誕生日、妻が誕生祝で映画を観に行こうと言うので、良く分からないが一緒に出かけ川崎シネチッタに入った。僕は今かかっている「オーシャンズ」はどうせ面白くないだろうが観ておく必要があると思い、女房に自分の意見を押し付け入場した。女房は内心の不満を抑えて従った。こういうところが大人しくて可愛らしい。しかし上映中は殆ど寝ていた。館内は平日なのに8割方埋まっていた。大したものだ。最近TVのパブが盛んに流されていて、真面目な日本の中高年達が動員されたのだろう。そういう意味では時宜をわきまえた利口な映画だ。(今エコや環境と言うと皆動く)字幕にTBSの名も出ていたので、まさかTBSの仕掛けじゃあないだろうネ?近頃TV局も結構商売上手だから。

確かに海や海の生物の映像は美しく素晴らしい。映像記録としてはとても貴重なものだ。しかし近頃「KNOWING」「2012」アバター」などの物凄いVFX映像を見せられると、「オーシャンズ」の貴重な映像もやや色褪せて見える。しかも現代はテレビでもっと凄い映像が出てくる。深海に棲む大王イカの食いちぎられた体の一部や、岩陰で眼を光らせるシーラカンスの映像など。だから本当はマッコウクジラと大王イカの深海での死闘や、獰猛な?シーラカンスが普通の魚を襲うところなどを見たかった。でもこれは少しVFXに侵された異常な感覚か一種のバーチャルリアリティ狂いだ。「オーシャンズ」の中でも集団で狩をするイルカやそのオコボレを狙う海鳥の大群に襲われるイワシの群れ、生まれたばかりの海亀が必死にパタパタと海に向かう姿は自然の厳しさを感じさせる。海亀の子の殆どは海鳥に食べられてしまう。その弱肉強食の酷さ、しかし確実に一部は生き残る。自然の摂理は神秘的で恐ろしい。しかし例え海に飛び込んでも海亀が成長するまで更なる厳しい試練が待っている…。大海の中を悠々と泳ぐ海亀は生まれた卵の1%か0.1%か?(それと以前にアースという映画が来たような気がする。これもきちんと観ておく必要があるだろう)

映画を見終わって保土ヶ谷に戻り駅ビルの三崎丸?に入ってビールで乾杯した。66歳でもめでたいのかネ?とにかく飲む理由は何でも良い。ここは殆どのネタが2カン200円で、シャリもネタもまあまあだ。二人とももう歳だから20カンも取れば充分だ。後は長茄子の漬物や海鮮茶碗蒸し、アラ汁などで充分。僕は熱燗も貰った。やっぱり寒い盛りは熱燗だ。しかし僕は暑い盛りも熱燗だ。飲み仲間では暑い盛りの熱燗も結構普通の事だ。だから糖尿病になるのか?いいのさどうせ諸行無常、蜻蛉のごときその命。