理趣経はどこに?

先日の日曜日弘明寺商店街でお茶を飲んだついでに、寺にも登ってみた。途中若い坊主がいたので真言宗について少し訊いて見た。大体若い坊主は京都か奈良の?仏教系の大学出だ。(と僕は思っている)だからソコソコの知識は持っている筈だ。僕は彼にいつもどんな経をあげているのか訊いてみた。いつも観音経だという。「理趣経は?」と訊いてみたら、やはりあげるという。「そのお経は売っていますか」と訊いてみたら、やはり理趣経密教なので市販されていないとの事。普通仏具屋あたりに行けばほとんどの経は売っているんだが…。しかし観音経に理趣経の一部が入っているそうだ。理趣経の全文は国会図書館に行けば閲覧できるという。やはり一般の人の目には触れないんだ。

またこの若い坊主は面白い事も言った。最澄空海から理趣経を借りようとしたら、この経は師弟相伝なので貸せないと言われたそうだ。多分今から1200年も前の話だ。それを昨日の事のように言うので何だかおかしかった。京都の人が“前の戦(いくさ)”というと応仁の乱の事を言うのと同じ感覚か?でもこの話は司馬の「空海の風景」にも出てくる。僕は若い坊主に「真言密教バラモンの呪文でしょう」と言ったら、彼はムッとして「仏教ですヨ!」と言い返してきた。それはそうだ。バラモン教とは言えない筈だ。開祖空海真言宗を、他の宗派の上に立つ最高の仏教として位置づけた。とてもバラモンの呪文が真言宗の元とは言えない筈だ。それとこの寺の本堂の入り口に空海の書が掛かっているという。僕は気がつかなかったが「感応」だったっけ?今度行ったら注意して見てみよう。何しろ空海は日本の三筆?と言われ、大唐帝国の皇帝からも五筆和尚と賞賛されている書聖である。

本堂の売店で信徒用の経典が売っていたので大枚を叩いて買った。何と2000円もした。小さな割にはバカ高い。多分この値段にはお布施も含まれているんだろう。経典の表紙には“檀信徒用常用経典”と書かれており、中味は観音経や般若心経などで、理趣経100字のゲ?も入っていた。全文漢文なので良く分からないが、それほど怪しいという感じはしない。出だしは“菩薩勝慧者”そして途中“調伏”という言葉も出てくるが、やはり100字ではあまり理趣経の怪しさは分からない。それと以前ブログに「弘法大師の不思議」を書いた時、密教と顕経と書いて”けんきょう”と読むと思ったら、坊主に”けんぎょう”と治された。やはり読み方一つでも僕らの常識を超えている。それとも僕があまりにも無知なのか?


真言宗の経文を見れば少しはその怪しさ、不思議さが分かると思ったが、観音経・般若心経は普通の大乗経典、理趣経国会図書館と、やはり簡単にその姿を現さない。でも有り難い?檀信徒用の経典を買ったからいいか。下の焼き鳥屋で熱燗をやりながらパラパラめくってみたが、漢文音痴の僕にはあまり有り難味が伝わらなかった。だから以前から言っているように、日本の坊主共は意味不明の漢文経典を、早く日本語の分かりやすい経典に直して欲しい。そうしないと僕は一生(と言ってもあと数年?)お経の有り難さが分からない…。