巨大スーパーの没落(反デフレ傾向−1)

NHKの「クローズアップ現代」を見ていた。物価の下落とともにスーパーの売上の落ち込みがひどい。値下げをしても物が売れない。消費者はもう衝動買いをしない。値段が安いのはもう慣れっこになっている。しかしネットスーパーは相変わらず伸びている。顧客は画面を見て必要なものだけを選んで購入する。もうマスマーケティングだけではやっていけない。GMS(総合スーパー)にとっては困ったものだ。値は下がる(下げる)、量も売れない。つまりどうしようもないが一体どうするのか?

その中でいまだに売上を伸ばしている中堅スーパーがある。例えば他店より圧倒的に品揃えが多かったり、しかも値段も高い。あるいは経営手法が全く違う。つまり普通のスーパーは社員3割・パート7割の所、このスーパー、昔よく行った大関は社員7割・パート3割である。このスーパーの経営者は人材力と言う。それとMD(マーチャンダイジング)が本部仕切りではなく、店舗別の仕入れをしている。さらに言えば売場の責任者が自分の目で商品を選び仕入れをしている。だから自信を持って自分の商品を顧客に薦められる。迷っている顧客に適切なアドバイスが出来る。それと客層・時間により商品のレイアウトも変える。つまり徹底したユーザーオリエンテッドである。そしてこのスーパーは昇格も実力主義である。

ここまで来ると単純にデフレで、消費不況で物が売れないだけでは済まされない。つまり消費者のマインドが大きく変わってきたのである。消費者がもの凄く賢くなったのである。必ずしも金がないから買わないのではない。自分にとって価値のないものは買わないのである。価値のあるものは少し高くても買う。あるいはかなり高くても買う。これは食料品だけではない。消費全体がそうなってきている。つまり小売業より消費者の方が賢くなったのである。ここでも知恵のない小売業者は後退していかざるを得ない。これからは多分マスマーケティングだけではなく、個別マーケティング、店舗別マーケティングを併用していかなければ小売業は上手くいかないだろう。これは市場全体から見ると逆に進歩と言えるのではないか?つまり日本市場は世界で最も進歩した消費市場かもしれない…。