「フィールド・オブ・ドリームス」

昨日の夜ニュースを見ていたら、レッドソックスの松坂とその仲間が東日本関東大地震義援金の募金活動を始めた。俳優やミュージシャン達も早くも支援活動を始めている。アメリカの野球選手達も日本の大地震に心を痛め、何とか日本を元気づけようとしている。だからアメリカ野球はいい。アメリカ人自体が今までどれだけ野球に元気づけられているかは計り知れない…。野球はやはりアメリカ第一のナショナル・スポーツである。

そういえば20年位前「フィールド・オブ・ドリームス」を偶然見た。その頃僕は40台半ばで、ちょうどその時仕事もピンチだった。多分広告屋として、スポンサー・サービスを辞めソーシャル・ビジネスあるいはソーシャル・イベントに移行しようとしていた時期だ。その時は仕事がなくしょうがなくオサボリで銀座に映画を見に出かけた。有楽町の昔の朝日新聞の対面に小さな映画館があり「フィルド・オブ・ドリームス」という聞き慣れないマイナーな映画をやっていた。小さな映画館では時々いい映画を掛ける。この映画も当たりだった。アメリカ野球に関するファンタジーだ。映画を見ていくと何と以前読んだW・P・キンセラの「シューレス・ジョー、アイオワに現る」の映画化だった。彼は名選手だったが、ある時自分のスパイクを忘れて裸足でプレーをした。それ以来彼は「シューレスジョー・ジャクソン」と呼ばれた。

この映画の中で“If you build it,he will come.(それを造れば彼は来る)”が印象的だった。主人公のケヴィン・コスナーはトウモロコシ畑で聞いたその声に取りつかれ、意外な行動を起こす。なんとトウモロコシ畑を刈り取り、そこに小さな野球場を造り出す。家族は支持するが周りの人達はあざ笑う。彼は破産寸前だった。しかしやっとその野球場(フィールド)が出来た時意外な事が起こる。夕闇の中に野球選手がいる。それは野球賭博で球界を永久追放された「シューレスジョー・ジャクソン」だった。映画ではホレボレするようないい男だが、実際は(この事件は実話)写真で見ると鼻のでかい醜男だった。彼は既に死んでいた。だから彼は幽霊だ。その後次々に死んだ大リーガー達が現れて、この球場で野球を始める。そこは地方の(アイオワの田舎町)名所になり、主人公は安い入場料を取って暮らしが成り立つようになる。

でも初めの言葉「それを作れば彼は来る」がこの球場の本当の意味だ。ある夕暮れ彼は死んだ父親に出会う。父はまだ若く彼の生まれる前の姿、初々しい新人だった。彼のポジションはキャッチャーで物静かな青年だった。コスナーは父とキャッチ・ボールを始める。彼はやはり現れた。若い頃喧嘩別れした父と会え、和解し?キャッチボールが出来た。(英語ではキャッチと言い、ボールは付かない)彼は今まで過去の事が気にかかっていた。映画の父親役は僕の見た実際の写真に似ていたような気がする。彼はやはりキンセラでこの作家の父親だった。そして実際にキャッチャーだった。この映画は観ていてジ〜ンときて数回見た。その後ビデオやテレビでも数回見た。何度見てもジ〜ンとくる映画だった。

この映画はアメリカでも当時マイナーな映画で、地方で数館掛けられただけだった。しかし口コミでたちまち広がり始め、数週後には大ヒット作になった。確かケヴィン・コスナーがシナリオを気に入り映画化したと聞いている。日本でも始めマイナーな映画館で掛かったが、その後大劇場で掛けられるようになった。そして結果的にはアカデミー作品賞を取る。この話のベースはやはりアメリカ野球への賛歌である。そして原作では主人公は謎を追いかけてJ・D・サリンジャーを訪ねる。あの「ライ麦畑でつかまえて」の作家である。映画ではそれをテレンス・マンに変えている。そして二人で満員の野球場で食べるホットドッグ、これぞアメリカだ!(これを書いていたら、本当にホットドッグが食べたくなった。今日はドトールでも行ってみよう…)


この映画を見るとやはりアメリカは“夢が叶う国”と“ナショナル・スポーツ、ベース・ボール”である。ケヴィン・コスナーもいい映画を選んで出続けている。その後の「ダンス・ウィズ・ウルヴズ」?や「JFK」なども秀作だった。