春の贈り物

昨日予約日を間違えて、今日再び聖隷病院にいった。この名前からするとどうもキリスト教関係の病院らしい。聖なる奴隷?病院名はともかく、今日は快晴だけれど風が冷たい。今年はどうも三寒四温ではなく四寒三温のようだ。何だか寒い日のほうが多い。保土ヶ谷駅から少し登って結構長いトンネルに入る。トンネルを出ると道の対面にエレベーターがあり4階まで登る。聖隷病院は結構高台にある。

エレベーターの出口から病院に向かう歩道の脇の空地に意外なものを見つけた。何ともうオオイヌノフグリが鮮やかな空色の花をつけていた。その奥にはさらにハナニラの白い花の群落。その周りにはヒメオドリコソウの鮮やかなピンク。アッという間の春到来だ。この雑草たちは春の三冠王だ。これにスミレを加えれば春の四天王だ。でもスミレは野か山に行かなければ見つからない。でも随分ささやかな春の贈り物だ。僕は大きな見事な花よりも、こんなささやかな小さな野草が大好きだ。そういえば道端にハナダイコンもチラホラ咲いていた。

この頃鎌倉散歩には行っていないが、ソロソロ北鎌倉から鎌倉の道を歩いてみよう。きっとこれらの雑草がより一層鮮やかだろう。それと薄いブルーのハナニラも見れるかもしれない。ヒョットするとスミレの群落も…。スミレも薄いブルーやピンクや白など色々あるけれど、もっとも綺麗なのは濃いブルーのスミレで、これは野になく僕の植木鉢に少しだけ植わっている。ヒョットすると花屋で売っていたニオイスミレかもしれない。とにかく今日は春の便りが一度に三つも見れた。ささやかな春の贈り物だ。それに紫のハナダイコンや白いハコベの花も。でもハコベにも色々ある。今日見たハコベは茎が立ち、花弁が細く、花弁の間が離れていたのでミミナグサかもしれない。それと良く見かける小さな赤い花、葉が肉厚で全体に地味だが、可憐な赤い花をつけるこの雑草は何と言うんだろう?

アカメの垣根の新芽も赤い色を吹き出しつつある。もう一月もすれば垣根は赤く染まる。桜ももうあと半月だ。桜はその辺の木や雑草とは格が違う。というより草花の中では異様な存在だ。といっても人の手で作られた染井吉野だけだが。あの満開の桜は異様な感じがしかつ妖艶である。人は満開の桜の下では狂気を宿す。だから桜を見ていると“美しきさらに悲しき”となる。

この桜花のために日本人の心は大きな影響を受けた。満開の時の狂おしさ、散る時の潔さそして悲しさ、散りぎわの桜の美しさは他の草花にはないものだ。風に吹き流れる桜吹雪はこの世のものとも思えない。ヒョットすると若い娘の死に化粧?もしインドに桜があればお釈迦様の悟りも違ったものになったかもしれない。単に諸行無常ではなく、それに移り変わる、変化の速さが加わった言葉になっただろう。諸行速無常?だから日本人の受ける心情は諸行無常のスピード版だ。きっとお釈迦様もビックリもの。


何を言っているのか自分でもよく分からなくなってきたがまあいいや。自然も生き物も人間も全てがクルクル回る糸車、いや大型のモーターか?せいぜいその時その時の一期を、そして一会を楽しもう…。